清泉女子大学のみなさまは、本来であれば陸前高田市に滞在し、フィールドワークを行う予定でしたが、2020年新型コロナウイルスの影響で陸前高田への訪問が困難になりました。
こういった状況の中、陸前高田とみなさまを繋ぐことはできないかと考え、オンラインでの授業・研修をスタート。いつもなら陸前高田に来訪して、実施していた体験をオンラインでお届けしました。地球市民学科のみなさまとご協力のもと、「オンラインだからこそ出来る新しい学びのカタチをつくろう」さまざまなことが制限される中、できることに挑戦するプログラムです。
1回目/テーマ:観光の現状と課題
2回目/テーマ:陸前高田SDGs未来都市
3回目/テーマ:防災クロスロードゲーム
4回目/テーマ:漁業と移住
5回目/テーマ:被災地NPOの活動
初回の第1回目は、陸前高田市の「観光」についての講義です。
お話いただいたのは、陸前高田市観光物産協会の桒久保事務局長。観光分野のこれまでの取り組みや、とくにコロナ禍のなかで行っている活動をご紹介。マルゴトスタッフもマルゴトの活動・取り組みについて紹介をさせて頂きました。
対面ではないので皆さんにどんな風に伝わっているのか心配でしたが、「とても楽しかった」「陸前高田に行きたくなった」「実際に現地の方々からお話が聞けてとても勉強になった」と、前向きな感想を頂きました。
講話者:陸前高田市役所 政策推進室 菅野隼様
(内容後日更新)
第3回目の授業は、広田町長洞地区にある『長洞元気村』から。
事務局長をしている村上誠二さんが震災時の実体験を題材にした「防災クロスロードゲーム」をオンラインで体験していただきました。
陸前高田市広田町にある長洞部落の震災当時と長洞部落の連携や奮闘に関する講話です。
講話の中に「防災クロスロードゲーム」を取り入れ、例えば「自治会に参加していない世帯にも、備蓄米から作ったおにぎりを配るべきか?」「非常食を自分の家庭だけで食べるか、避難所にいる他の人にも配るか?」など、実際に講話をする村上さんが経験をされたことを中心に問い掛けがされます。聴く側は、手元に「YES・NO」2 種類のカードがあり、自分の考え方を出し、なぜそう思ったのか意見を発表するという流れです。
この問いに正解はなく「自分がその時にどうするかを考える」ものであり、災害を自分ごとして考えると同時に、他者のさまざまな考えを知ることができる体験型の講話です。
『実際に被災した建物からどのあたりまで津波が来たのかを教えてくださって、現地にいる気分で被害の状況を知ることができました。』
『お話を聞いて、3日間捜索したけど見つからなくて打ち切りの話を家族にしに行った時、ここまで探してくれてありがとうと感謝を言われたという話に泣きそうになりました。』
『ゲームを混じえながら、災害時に私達が取るべき行動について再確認することが出来ました。私も家が海から近く、大きな地震があった際は津波も襲ってくる場所なので家族としっかり避難場所などを確認しないといけないなと思います。』
『クロスロードは、正解がないとおしゃっていて、自分ではこの答えしかありえないと思っていても、反対の答えを選んでいる人がいてその人の意見を聞くと、そうゆう考えもあるんだなと感じました。』
第4回目の授業は、清泉女子大学のOGであり、漁師になることを志して陸前高田へ移住された、山﨑風雅さんに漁港から生中継をしてもらいお話を伺いました。
神奈川県横浜市で育った山﨑さんが陸前高田に来て体験した、『生活の中に当たり前に海がある生活』『漁師という男社会の中で生きる』というお話に、学生の皆さんは強く感銘を受けていました。
・農業、漁業など、地域の人と密着した生活にとても憧れがあります。
・今回の話とても素敵だなと思いました。すごく聞いていてワクワクしました。
・同じ地球市民学科の先輩ということもあり、とても親近感がありました。
・講義が終わっていくにつれどんどん、陸前高田に行きたい気持ちが増えていきました。
・実際に現地にいる人の声は、重みというか、心に響くものがありました。
おすそ分け、お茶飲み文化など、地域ならではの生き方を知るきっかけとなったようです。
陸前高田と心の交流が、これまで以上に出来た授業となりました。
最後となる第5回目の授業は、認定特定非営利活動法人桜ライン311の代表理事、岡本翔馬さん。
桜ライン311の活動の内容や、なぜご自身がその活動に参加されたのかなど、震災の事だけではなく、NPO運営を通した地域おこしについて情熱的にお話をいただきました。
・NPOの方にお話を聞いて陸前高田で働いている人々は、それぞれ強い意志を持って、生きているんだなと感じました。
・桜ライン311というプロジェクトを今回初めて知ったが、立ち上げた理由、その間の苦労や嬉しかったこと、心を打たれる内容ばかりで濃い1時間半でした。
・桜を植えることで過去にあったことを被災者が思い出してしまう、という視点もあり、桜を負の産物として扱う人もいるかもしれない反面、100年先、1000年先と今後の将来を踏まえるとその時の犠牲を無駄にしないという意味では将来に伝えていくべきであると思えた。最後にあった行動してみるとか、失敗を恐れないなどをこれから意識していこうと思いました。
桜を通して東日本大震災を風化させない、次の震災で亡くなる人を一人でも少なくしようという、岡本さんの思いが学生のみなさまにとても深く刺さった第5回授業となったようです。
2日間にわたり、陸前高田市内のさまざまな場所から中継をつなぎました。
学生のみなさま自身が興味をもった分野にわかれ、陸前高田で活動しているひとと交流を交えながら学習をしました。
ICT教育ニュース
NHK「おばんですいわて」