マルゴト陸前高田

【陸前高田と出会う vol01】企業と社会との関係を体感する

兼松株式会社 代表取締役副社長 長谷川 理雄さん

兼松株式会社
電子・IT、食品・食糧、鉄鋼・機械プラント、環境・素材をはじめとした多種多様な製品・サービスを扱う商社。

陸前高田市での研修は、2011年より8年間継続して行っています。マルゴト陸前高田が行っている事業のひとつである企業研修。2011年から、これまで110件以上の事業所を受け入れてきました。今回お話を伺ったのは、兼松株式会社 代表取締役副社長の長谷川 理雄さん(2018年7月時点)。東京に本社を置く同社は、陸前高田市でのボランティア活動を、8年間継続して行っています。インタビューでは、これまで陸前高田市でボランティア活動を続けてきた理由やその活動内容についてお話をお聞きしました。


兼松建設副社長 長谷川 理雄さん

——陸前高田市でボランティア活動を行うまでの経緯について教えてください。

きっかけは、弊社で携帯ショップを経営している関係会社が陸前高田市内にあったことです。海岸沿いにあった事務所は東日本大震災の被害にあいました。しかし、従業員は全員、すぐに高台に逃げて、けが人はなし。そのことに感謝しつつ、陸前高田市には色々恩返しをしたいということで、震災直後から市内でのボランティア活動を始めました。

震災直後は年に3回、20人ほどで訪れて、瓦礫の撤去等を行っていました。しかし、年数が経つにつれて、力仕事のようなお手伝いは減ってきて、我々がどう陸前高田市と関わっていこうかと悩んで、壁にぶち当たったこともありました。まちの人たちにとって何が必要なのか。要するに押し付けのボランティア活動なんて最悪ですからね。

そんな時に、ここ(竹駒町・滝の里仮設)に伺って、自治会の会長さんとマルゴト陸前高田代表の伊藤雅人さんにアドバイスをいただいて。私達は商社ですから、お肉やワインを扱っているので、そういった商品を提供することができるということで、バーベキューを開催しようということになりました。最近は年に2回ほど訪れて、こうしてみなさんとふれあいの場を持つことをメインの活動としています。


バーベキューを楽しむ兼松建設の新入社員

——例年、ボランティア活動に訪れているのは新入社員の方達が多いとお聞きしました。陸前高田市での活動には、どんな意義がありますか。

復興支援として関わりを持っているのは陸前高田市のみで、これまで8年間活動を続けています。私の意図としては、陸前高田市に来て、仕事以外のコミュニティーの方々とお会いして、お話することで多様性を学んでほしいと思っています。社員は都会生まれ、都会育ちが多いのでね。やっぱりこういう自然豊かな環境で、陸前高田市の方たちとお話をさせていただいて、いつもとは違う閃きがあるといいし、「自分たちは何を提供するべきか」というお客さんの立場でものを見るということの勉強にもなるのかなと思っています。陸前高田市の方たちにも喜んでいただきたいと思いながら、我々自身も吸収できるものを得ることができる機会になっていますね。


地元のおばあちゃんから熱心に震災当時の話をきく新入社員

それともうひとつ、新入社員には、会社としてこういう活動を行っているということを見せたいという想いがあるんですよ。仕事だけをして「稼いでなんぼ」ということではないよと。やっぱり企業は社会とともに生きているわけだから、企業が稼いだ分をどう社会に還元できるかを考えていかないといけない。この活動に参加することで、そのすべてを理解できるわけではないですが、そうした企業と社会との関係を体感できる機会を持つことが重要だと思っています。そうして仕事以外の活動の中で、社会を見つめてもらうという意義もありますね。


ボランティア活動を置こうな兼松建設の社員

——社会貢献活動から波及して新たに陸前高田市での活動を行っているとお聞きしました。

社会貢献活動として陸前高田でこうした活動を続ける中で、陸前高田市が障害者スポーツのメッカになろうという取り組みをされているとお話を聞いて、「アンプティサッカー」の取り組みについて我々も支援を行うことができないかと動き出しているところです。

こうして陸前高田市と関わりを持ちたい、ここでボランティア活動を行いたいと思っていても、自分たちでその活動先を探すことはなかなか難しい。なのでマルゴト陸前高田さんがいないとこうして陸前高田市との接点を持つことはできていないなと思っています。


日暮れの中、人間関係を構築していく新入社員たち

陸前高田市で私達ができることを、一緒に考えながら、いろんなアイディアをいただいて、マルゴトさんと一緒に活動しているような感覚ですね。非常にありがたいですよ、お付き合いが長いので、信頼も厚いです。今はもうお願いしている取引先というより、ある意味、仲間だと感じていますよ。そんな関係だと思います。